王心斎の言葉

名言集 今日を生きる、明日を拓く、言葉を贈ろう
甕に鱔(たうなぎ)あり。
重なりあいて気息奄々(えんえん)。

一匹の鰍(どじょう)なかより現れて暴れまわれば、鱔は鰍によって身を転じ、気を通じ生意あるを得たり。
しかも鰍は唯その性に率(したが)ひしのみ。

道人曰く
「余の同胞と天地の間にある、またかくの如き哉。大丈夫は天地万物を一体となし、天地の為に心を立て、生民の為に命を立つとは、それこの謂か」

ついに慨然として天下周遊の志あり。
たちまち雷雨おこる。
鰍、機に乗じて躍り出、大海に投じ、快楽かぎりなし。
甕中の鱔をかえり見、身を奮って竜と化し、ふたたび雷雨をおこし、甕を覆す。

かの気息奄々たりしものみな蘇り、相ともに大海に帰りぬ。
王心斎
『鰍鱔説』

王心斎
1483年(成化19年) – 1541年(嘉靖20年)
中国明代の思想家。字は汝止。号は心斎。もとの名は銀。泰州安豊場の出身。製塩を生業とする家に生まれ、塩商に関係して山東に旅し、曲阜の孔廟に詣でたことが、学問をするきっかけとなったとされる。正徳15年(1520年)、王守仁(王陽明)に入門した。王守仁の没後、王畿・鄒守益・欧陽徳・聶豹・羅洪先らの同門と共に、王守仁の唱えた致良知説を継承した。王艮の学問は、格物説に独創性を持ったもので、それは自我を至上として「独善」からの脱却を説くものであった。この場合の「独善」とは、治国平天下(国を治め天下を平らかにすること)の理想を顧みることなく、自己の修養のみにつとめる態度とされる。これに関連して、万物一体の思想も説いた。王艮は、生涯一度も官途に就くことなく、一処士(浪人学者)として地方での講演活動に励んだ。著書に『王心斎先生集』5巻がある。

その他の名言・言葉

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です