飛行機は上昇を終わり、高みで旋回をはじめた。もう大丈夫だ。どういうわけか不意に涙が溢れた。 たかが香港旅行ぐらいでと自分を笑いながら、さっきの裁ちばさみや蘭の花束のことを思い合わせて口許は声を立てて笑っているのに、お天気…
作家
夏目漱石の言葉(3)
同時に此何坪何合の周囲に鉄柵を設けて、これよりさきへは一歩も出てはならぬぞと威嚇かすのが現今の文明である。 憐れむべき文明の国民は日夜に此鉄柵に噛み付いて咆哮している。 『草枕』夏目漱石 夏目漱石1867年2月9日(慶応…
夏目漱石の言葉(2)
一人前何坪何合かの地面を与へて、此地面のうちでは寐るとも起きるとも勝手にせよと云ふのが現今の文明である。 『草枕』夏目漱石 夏目漱石1867年2月9日(慶応3年1月5日) – 1916年(大正5年)12月9日…
夏目漱石の言葉(1)
文明はあらゆる限りの手段をつくして、個性を発達せしめたる後、あらゆる限りの方法によって此個性を踏み付け様とする。 『草枕』夏目漱石 夏目漱石1867年2月9日(慶応3年1月5日) – 1916年(大正5年)1…