フォークの峰でぎゅーっと押し切ると、カステラはアコーディオンのように激しくひしゃげてから、ふわふわーっと元の形に戻った。
切り口はスポンジの穴が潰れ、断面がもろもろとそばだつ。
その卵色の「もろもろ」が、たまらなく私をそそる。
切り口はスポンジの穴が潰れ、断面がもろもろとそばだつ。
その卵色の「もろもろ」が、たまらなく私をそそる。
森下典子
1956年神奈川県生まれ。日本女子大学文学部国文学科卒業。大学時代から『週刊朝日』連載の人気コーナー「デキゴトロジー」の取材記者として活躍。その体験をまとめた『典奴どすえ』を1987年に出版後、ルポライター、エッセイストとして活躍を続ける。