波は去ったあとに、ときおり可憐な貝殻を濡れた砂に置いていったりします。
人との出逢いのあとには、必ず思い出が残されます。
たとえ傷つけ合った別れでも、想い出のなかでは美しかったことや、懐かしかったことが渚の桜貝のようにちりばめられているものです。
生きるとは、人に出逢い、やがて別れていくこと。
限りなくくり返し打ち寄せ、去っていく波の動きに似ています。
人との出逢いのあとには、必ず思い出が残されます。
たとえ傷つけ合った別れでも、想い出のなかでは美しかったことや、懐かしかったことが渚の桜貝のようにちりばめられているものです。
生きるとは、人に出逢い、やがて別れていくこと。
限りなくくり返し打ち寄せ、去っていく波の動きに似ています。
瀬戸内寂聴
1922年〈大正11年〉5月15日生
日本の小説家、天台宗の尼僧。俗名晴美。京都府在住。僧位は権大僧正。1997年文化功労者、2006年文化勲章。学歴は徳島県立高等女学校(現:徳島県立城東高等学校)、東京女子大学国語専攻部卒業。学位は文学士(東京女子大学)。元天台寺住職、現名誉住職。比叡山延暦寺禅光坊住職。元敦賀短期大学学長。徳島市名誉市民。京都市名誉市民。代表作には『夏の終り』や『花に問え』『場所』など多数。1988年以降には『源氏物語』に関連する著作が多い。これまで新潮同人雑誌賞を皮切りに、女流文学賞、谷崎潤一郎賞、野間文芸賞などを受賞している。