といっても物質の世界で生きている限り人は生活をしなければならず、欲望というものが必要である。
野心が強いからこそ人には出せない力が出る場合がある。
女好き、性の欲望の強さゆえに覇者になっていく人もいる。
芸術は必ずしも清浄な人から生まれるものではない。
嫉妬心や羨望が生きる力になることもあれば、金欲物欲が暮らしを豊かにするのだ。
欲望を否定してはこの現世は成り立たないだろう。
あってもいけないし、なくても困る。
そこが人生の難しいところなのである。
野心が強いからこそ人には出せない力が出る場合がある。
女好き、性の欲望の強さゆえに覇者になっていく人もいる。
芸術は必ずしも清浄な人から生まれるものではない。
嫉妬心や羨望が生きる力になることもあれば、金欲物欲が暮らしを豊かにするのだ。
欲望を否定してはこの現世は成り立たないだろう。
あってもいけないし、なくても困る。
そこが人生の難しいところなのである。
佐藤愛子
1923年(大正12年)大阪市生まれ。甲南高女卒業。小説家・佐藤紅緑を父に、詩人・サトウハチローを兄に持つ。1950年(昭和25年)「文藝首都」同人となり処女作を発表。「文學界」に掲載された「冬館」で文壇に認められ、1969年『戦いすんで日が暮れて』で直木賞を、1979年に『幸福の絵』で女流文学賞を受賞。佐藤家の人々の壮絶な生き方を、ありありと描いた大河小説『血脈』で、2000年(平成12年)菊池寛賞を受賞する。