勉強するほうは、一つのことを理解し覚えこむので精一杯だから、説明が単一であることを望み、あるいは一つの説明を知ると、万事をそれで説明しようとする。
それを昔から、馬鹿の一つ覚え、という。
自然の現象は、馬鹿の一つ覚えで済むほど、単純ではない。
自然科学がしばしば単純な原理を押し通すのは、単純な部分しか見ないからである。
複雑な部分については、それは自然科学の対象ではない、などという。
単純な原理だけで生きて動いているなら、人間の理解などまったく苦労はないはずであろう。
それを昔から、馬鹿の一つ覚え、という。
自然の現象は、馬鹿の一つ覚えで済むほど、単純ではない。
自然科学がしばしば単純な原理を押し通すのは、単純な部分しか見ないからである。
複雑な部分については、それは自然科学の対象ではない、などという。
単純な原理だけで生きて動いているなら、人間の理解などまったく苦労はないはずであろう。
養老孟司
1937年鎌倉市生まれ。1962年東京大学医学部卒業。東京大学医学部教授を1995年大患。現在北里大学教授、東京大学名誉教授。専門は解剖学、科学哲学。著書に「ヒトの見方」「からだの見方」「解剖学教室へようこそ」「唯脳論」「バカの壁」など多数。