つくづく、この国は言霊の幸ふ国である。
言葉を愛する我々なのである。
これは素晴らしいことではないか。
得難いことではないか。
言葉のうえでの議論をやめ、現実に目覚めよなどと、野暮な人間は口走る。
逆である。
言葉を愛することのできない人間に、現実という意味はわからない。
すべての議論が言葉によりなされているという現実について、考えたことがありますか。
言葉を愛する我々なのである。
これは素晴らしいことではないか。
得難いことではないか。
言葉のうえでの議論をやめ、現実に目覚めよなどと、野暮な人間は口走る。
逆である。
言葉を愛することのできない人間に、現実という意味はわからない。
すべての議論が言葉によりなされているという現実について、考えたことがありますか。
池田晶子
1960年東京生まれ。文筆家。慶応大学文学部哲学科卒業。専門用語を使わず、哲学するとはどういうことかを日常の言葉で語る「哲学エッセイ」を確立した。2007年2月23日逝去。