お花だったら
もしもわたしがお花なら、
とてもいい子になれるだろ。
ものが言えなきゃ、あるけなきゃ、
なんでおいたをするものか。
だけど、だれかがやって来て、
いやな花だといったなら、
すぐにおこってしぼむだろ。
もしもお花になったって、
やっぱしいい子にゃなれまいな、
お花のようにはなれまいな。
『明るいほうへ』
金子みすゞ
金子みすゞ
1903年4月11日、山口県大津郡仙崎町(現・長門市)に生まれる。本名は金子テル。童謡詩人。幼少期より本に親しみ、自然や身近なものへの鋭くやさしいまなざしを育む。1920年代に『赤い鳥』『金の船』『童話』などの童謡雑誌に作品を発表し、「大漁」「私と小鳥と鈴と」など、素朴でありながら深い共感と倫理観を備えた詩で高く評価された。人間だけでなく、草木や虫、無生物にまで心を配る表現は、当時の童謡詩の中でも特異な輝きを放っている。1930年、26歳で没。没後長く忘れられていたが、1980年代に再評価が進み、現在では日本を代表する詩人の一人として広く読み継がれている。






