魂の中に一つの力があり、その力にとってはすべての事物が甘美である。
いや、この世界の最もつまらぬものと最もよきものさえ、この力にとっては全く相等しいのだ。
この力が万物を「ここ」と「今」のかなたで受け入れる。
「今」――それは時間である。
そして「ここ」――それは場所、いまわたしが立つところのこの場所である。
だが、よいか、もしわたしがわたし自身から完全に脱却し、自己からまったく自由になったならば、見よ、そのとき天なる父はわたしの魂のうちにその独り子を生み、わが魂はそれを生み返すであろう。
いや、この世界の最もつまらぬものと最もよきものさえ、この力にとっては全く相等しいのだ。
この力が万物を「ここ」と「今」のかなたで受け入れる。
「今」――それは時間である。
そして「ここ」――それは場所、いまわたしが立つところのこの場所である。
だが、よいか、もしわたしがわたし自身から完全に脱却し、自己からまったく自由になったならば、見よ、そのとき天なる父はわたしの魂のうちにその独り子を生み、わが魂はそれを生み返すであろう。
マイスター・エックハルト
1260年頃 – 1328年頃。中世ドイツ(神聖ローマ帝国)のキリスト教神学者、神秘主義者。ドイツのテューリンゲンにて生まれる。タンバハという村で生まれたと推測されている。 パリ大学にてマイスターの称号を受ける。トマス・アクィナス同様、同大学で二度正教授として講義を行った。1326年ケルンで神学者として活動していたエックハルトはその教説のゆえに異端の告発を受け、これに対し「弁明書」を提出。 当時教皇庁があったアヴィニョンで同じく異端告発を受けたウィリアム・オッカムとともに審問を待つ間(もしくはケルンに戻った後)に、エックハルトは没した。 その死後 1329年、エックハルトの命題は異端の宣告を受け、著作の刊行・配布が禁止された。 これによって彼に関する記録はほとんどが失われたため、その生涯は上記の「弁明書」等から再構成されるのみであり、不明な部分が多く残されている。