下水溝には蓋がなく、汚物はあふれ、群集がひしめき、聖なる河は自身の道を流れつづけていた。
生命の悲しみはいたるところにあった。
そして、あの青空の高みでは重い翼をもつ禿鷹が羽搏きもせず、ゆるやかに時を区切るように旋回しながら、なにかを待ち、目をこらしていた。
生命の悲しみはいたるところにあった。
そして、あの青空の高みでは重い翼をもつ禿鷹が羽搏きもせず、ゆるやかに時を区切るように旋回しながら、なにかを待ち、目をこらしていた。
クリシュナムルティ
1895年5月12日 – 1986年2月17日 インド生まれの宗教的哲人、精神教師、教育者、神秘家、ヨーギー、精神世界の著作家。すべての物事が時間的にも空間的にも互いの条件付けによって成り立つと考え、人は組織、信条、教義、聖職者、儀式等によって真理に到達することはできず、ただ自己認識によってのみ真理を見出すことができると説いた。あらゆる伝統を否定したが、彼が語る真理の発見と体験はインド思想に立脚していると考えられており、インド哲学・ヒンドゥー教のアドヴァイタ・ヴェーダーンタ、仏教との共通点が指摘されている。インドだけでなく、欧米でも幅広い支持を得た。