ただ人は情けあれ朝顔の花の上なる露の世に
閑吟集
永正15年(1518年)に成立した小歌の歌謡集。ある桑門(世捨て人)によってまとめられた歌謡集である。仮名序に「ふじの遠望をたよりに庵をむすびて十余歳」の「桑門(僧)」とするのみで、作者については不詳であるが、連歌師の宗長をあてる説もある。「なにせうぞ くすんで 一期は夢よ ただ狂へ」など、当時の刹那的な雰囲気がよく現れたもの、「世の中は ちろりに過ぐる ちろりちろり」などの無常観、室町びとが感情を託して歌った311首が収められている。仮名序に「毛詩三百余篇になずらへ」たとある。