子どもは成長してゆくとき、時にその成長のカーブが急上昇するとき、自分でもおさえ切れない不可解な力が湧きあがってくるのを感じる。それを何でもいいからぶっつけてみて、ぶつかった衝撃のなかで、自らの存在を確かめてみるようなところがある。
そのとき子どもがぶつかってゆく第一の壁として、親というものがある。
親の壁にさえぎられ、子どもは自分の力の限界を感じたり、腹を立てたり、くやしい思いをしたりする。
しかし、そのような体験を通じてこそ、子どもは自分というものを知り、現実というものを知るのである。
そのとき子どもがぶつかってゆく第一の壁として、親というものがある。
親の壁にさえぎられ、子どもは自分の力の限界を感じたり、腹を立てたり、くやしい思いをしたりする。
しかし、そのような体験を通じてこそ、子どもは自分というものを知り、現実というものを知るのである。
河合隼雄
1928年兵庫県生まれ。京都大学理学部卒。京都大学教授。日本におけるユング派心理学の第一人者であり、臨床心理学者。文化功労者。文化庁長官を務める。独自の視点から日本の文化や社会、日本人の精神構造を考察し続け、物語世界にも造詣が深かった。著書も多数あり、どれも人間味のあふれた、示唆に富んだ内容となっている。